嘉十はにわかに耳がきいんと鳴りました。そしてがたがたふるえました。鹿どもの風にゆれる草穂のような気もちが、波になって伝わって来たのでした。 嘉十はほんとうにじぶんの耳を疑いました。それは鹿のことばがきこえてきたからです。(宮沢賢治:「鹿踊りのはじまり」より)